平成14(ネ)1763

「オ 計算補正区分について
(ア) 証拠(甲52)によれば,原告ソフトと被告ソフトの計算補正区分を対比すると,①計算補正区分の並び順が一致し,②被告ソフトの計算補正区分が原告ソフトの計算補正区分プラス100となっており,③将来に使用の可能性があるためにあらかじめ用意されているが,実際には現在使用されていない計算補正区分が一致しているなど,両者の間に類似性があることが認められる。」
 原告ソフトと被告ソフトの類似性は認定。でも・・・

「(イ) しかし,公共工事用積算ソフトにおいては,算出された金額を出力するに当たって,どの桁まで表示するか,それ以下については切り捨てるか,四捨五入するかなどは,地方自治体の作成した施工単価条件表(甲18,25~27)に定められており,これに従って計算補正をするプログラムを作成する限り,現実に使用される計算補正は一致するのが当然である。」
 公的資料にしたがってソフトを作成すれば、類似するのは当たり前。。。

ということで、
「原告ソフトと被告ソフトの現在使用されていない計算補正区分が類似しているからといって,被告ソフトが原告ソフトを複製又は翻案しているということはできない。」とのこと。

著作権法-第二条

第二条は、用語の定義。
   
「著作物」
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

「著作者」
著作物を創作する者をいう。

「プログラム」
電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。
   
「データベース」
論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

「二次的著作物」
著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
   

「共同著作物」
二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。

「複製」
印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、・・・

「頒布」
有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあ つては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。

平成13(ワ)16440

グループウェアの表示画面についての争い。

「このような表示画面は,作業の機能的遂行や利用者による操作や閲覧の容易性等の観点からその構成が決定されるものであって,当該ビジネスソフトウェアに要求される機能や利用者の利便性の観点からの制約があり,作成者がその思想・感情を創作的に表現する範囲は限定的なものとならざるを得ない。」
機能から決まる要素が多いので、著作物となりえる部分は限定的ということ。

「また,本件の原告ソフトにおける「スケジュール」「行き先案内板」「施設予約」「掲示板」「共有アドレス帳」等のアプリケーションについては,コンピュータの利用が行われるようになる前から,企業や学校等においては,黒板やホワイトボード等を用いた予定表,掲示板や帳簿等を用いた施設予約簿などが存在しており,また,システム手帳等も存在していたから,過去に利用されていたこのような掲示板,帳簿等の書式の慣行を引き継ぐ必要から来る制約というものも存在する。 」
ソフトだけではなく、紙ベースのものも考慮。

「仮に,他社ソフトの表示画面に,原告ソフトの表示画面において認められる創作的要素のうちの一部が共通して認められるとしても,原告ソフトにおける他の創作的要素が他社ソフトの表示画面に存在しない場合や,原告ソフトに存在しない新たな要素が他社ソフトの表示画面に存在するような場合には,表示画面全体としては,他社ソフトの表示画面から原告ソフトの表示画面の創作的表現を直接感得することができないという事態も,十分に考えられるところである。 」
「これを要するに,原告ソフトの表示画面については,仮にこれを著作物と解することができるとしても,その創作的表現を直接感得することができるような他者の表示画面は,原告ソフトの表示画面の創作的要素のほとんどすべてを共通に有し,新たな要素も付加されていないようなものに限られる。すなわち,仮に原告ソフトの表示画面を著作物と解することができるとしても,その複製ないし翻案として著作権侵害を認め得る他者の表示画面は,いわゆるデッドコピーないしそれに準ずるようなものに限られるというべきである。 」

デッドコピーくらい似ていないと著作権侵害にはならない。。。
原稿の要求、棄却。

平成10(ワ)20162

プログラムの翻案が争点。

 原告ソフトと被告ソフトの共通点。

「(一) 本件ソフトの納品入力画面は、「☆☆書籍納品書☆☆」という見出しに続いて、「種目」等の項目の入力欄があり、項目名を表示した欄が緑色で着色されているところ、その二行目の右端から二番目は「伝番」欄、四行目の右端から二番目は「セット名」欄であり、いずれも緑色に着色されている(甲一二の一)。
一方、被告ソフトの納品入力画面も、本件ソフト同様、「☆☆書籍納品書☆☆」という見出しに続いて、「種目」等の項目の入力欄があり、項目名を表示した欄が緑色で着色されているところ、その二行目の右端から二番目の欄及び四行目の右端から二番目の欄は、被告ソフトにおいては、項目名が表示されていないにもかかわらず、本件ソフトと同様に緑色に着色されている(甲一二の二)。」


など・・・

被告ソフトが、そのようにする必要性がないのに、原告ソフトと同じ箇所がある。
よって・・・被告ソフトは翻案によるものと判断。

平成14(ワ)10893

PIMの表示画面に関する著作権侵害かどうかの争い。

「①原告製品の表示画面は,週表示画面,月表示画面,アドレス帳画面,プロフィール画面の4つであり,被告製品1の表示画面は,週表示画面,月表示画面,アドレス帳画面,ツール画面の4つであり,いずれも表示画面が4つであること,②このうち週表示画面,月表示画面,アドレス帳画面が共通すること,③これら画面は相互に移動可能であること,④背景画面を変更することができること,⑤起動すると起動画面の後に週表示画面が表示されること,⑥画面の大きさ,以上の点が共通する。」
「しかし,上記①②については,...(略)... 週表示,月表示,アドレス帳,ツールという構成は,従来の紙製の手帳にもあった構成であると認められる上,上記認定のとおり原告製品の週表示画面とアドレス帳画面は,被告製品1のそれらを複製又は翻案したものとはいえないし,下記のとおりその余の表示画面についても,被告製品1は原告製品を複製又は翻案したものとはいえない。」
「 上記③は,この種の製品が当然有すべき機能であるし,④については,証拠(乙1)と弁論の全趣旨によると,背景の画像のみの切替えは,ウィンドウズやマッキントッシュのOSにおいて見られる上,他のスケジュール管理ソフトにおいても見られるものと認められる。」
「上記⑥については,限られた画面の中に同じような項目を配置しようとすれば,大きさが似ることはやむを得ないものといえる。」

ということで、請求棄却とのことです。